この恋に名前をつけるとするならば

「仕事中に倒れちゃったみたいね。白猫運輸の人が見つけて、救急車を呼んでくれたのよ。」

そう話す看護師さんの言葉を聞き、駒場さんの姿が思い浮かぶ。

(そっか、駒場さんが······)

「かなり無理してたんじゃない?過労から倒れたみたいだけど、他に異常は見つからなかったわよ。」
「そうですか。あ、でも···倒れる前に手が紫色になったり、身体に痺れと痛みを感じたんですけど。」
「手が紫?痺れと痛み?んー、でも検査したけど、どこにも異常は無かったみたいだけどね。」

看護師さんはそう言うが、"異常が無い"と言われても違和感を感じるわたし。

あれで異常がないって···――――
じゃあ、あれはなんだったの?

「点滴が終わったら、帰って大丈夫だからね。」

看護師さんはそう言うと、カーテンを閉めて行ってしまった。


それから一時間後、わたしは点滴を終えて会計を済ませ、帰宅する事になった。

すると···――――

「麗月さんっ!!!」

その声にふと顔を上げると、そこには命くんの姿があり、駆け寄ってわたしを抱き締めた。

「命くん。」
「倒れたって聞いて、ビックリして···!」
「誰から聞いたの?」
「白猫の駒場さんです!」

(駒場さん、命くんに連絡してくれたんだ。)

「ごめんね、心配かけちゃって。」
「もう大丈夫なの?!倒れたのに···、一日くらい入院とか!」
「これくらいで入院は必要ないって。それに仕事も休めないし。」
「こんな状態で明日も仕事行くつもりなの?!」
「わたしが休むと、代わりの人いないから。」

そう話していると、命くんの後ろに人影が見え、ふとそちらに視線をやると、そこには郁人さんと不機嫌そうな芽衣さんの姿があった。

「郁人さん、芽衣さん。」
「麗月さんが倒れたって聞いて。」
「ご心配おかけして、ごめんなさい。」

わたしがそう言うと、郁人さんの隣で「別に心配なんてしてないけどね!」と芽衣さんが言った。
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