この恋に名前をつけるとするならば
「実は···倒れる前にちょっと身体に異変があって···」
「異変?」
「手が紫色になって腫れてたんです。そこから、痺れと痛みが身体に広がっていって、気付けば意識を失ってました。」
「その事は、病院側に言った?」
「はい。でも、検査で異常がなかったからって言われました。」
わたしの話を聞き、眉間にシワを寄せる郁人さん。
そんな郁人さんの姿に命くんは「おい、郁人。麗月さん、何か変な病気とかじゃないよな?」と不安気に訊いた。
「まだ診て見ないと何とも言えないけど···、とりあえず明日、うちのクリニックにおいで。」
「うちのクリニック?」
わたしがそう訊くと、命くんは「あ、麗月さんにはまだ話してなかったね。」と言ったあと、「郁人は自分でクリニックを開院してるんだよ。」と教えてくれた。
(そういえば、前にお母さんがリーダーの人は医師免許がどうのって言ってたっけ。あれ、本当だったんだ。凄いなぁ。)
すると、その話を聞いていた芽衣さんが「ええ?!その女、うちのクリニックで面倒みるの?!」と言い出した。
「わたしは反対!違う病院にお願いしなよ!」
「芽衣、お前何言ってんだよ。ただの受付のくせに、口出しすんじゃねぇ。」
怒りが混じったような低い声でそう言う郁人さんの言葉に、芽衣さんはそれ以上何も言わなかった。
「とにかく、今日は命の家でゆっくりして、明日うちで検査をしてみよう。」
郁人さんの口調は優しく、わたしの気持ちを安心させてくれた。
「でも、わたし家に帰れますよ。」
「なーに言ってんすか!それは俺が許しません!心配で家に帰せるわけがない!」
「命の過保護が始まったよ。」
そう言って笑い出す郁人さん。
郁人さんは「こいつ、大事な人はとことん大事にする奴だから。麗月さん、覚悟しといた方がいいですよ。」と言い、若干呆れ気味だった。
「じゃあ···、今日はお言葉に甘えて······」
「もうドーンと甘えてください!」
甘えさせてくれる気満々の命くんに、「じゃあ、また明日。」と芽衣さんを連れて帰って行った郁人さん。
わたしは命くんのベッドで横になりながら、命くんの温かく大きな手で頭を撫でてもらった。
「麗月さん、こんなになるまで気付かなくてすいません······」
そう言って謝る命くんにわたしは首を横に振った。
「命くんに心配かけたくなくて、わたしが何も言わなかっただけだから。」
わたしがそう言うと、命くんはわたしを抱き締め「心配、かけさせてよ。」と耳元で囁いた。