この恋に名前をつけるとするならば

「せんい、きんつうしょう?」

初めて聞く病名に命くんもわたしも頭の中がハテナだらけになる。

すると郁人さんは、"線維筋痛症"に関する症状が書かれた紙を渡しながら、説明をしてくれた。

「線維筋痛症は、あまり聞き慣れない病名かもしれないけど、意外と患者数は多いんだ。原因はまだよく分かっていないけど、ストレスから発症する人が多い事は分かってる。」

郁人さんがそう言ったあと、命くんはわたしの代わりに「この病気は治るんだよな?」と訊いてくれた。
しかし、郁人さんの口から出てきた言葉は、わたしを絶望へと落とすものだった。

「残念ながら、今の医療で完治させる事は出来ないんだ。」
「えっ?!じゃあ、難病って事かよ!」
「いや···、それがさっきも言ったけど、思いの外、患者数が多い為に指定難病にはなってないんだ。」
「何だよ、それ!」

今の医療では、完治させる事が出来ない···―――――

それって、治らないって事なの?

「ただ、完治は難しいけど、寛解に向けての治療は出来るよ。無理をせず、薬で痛みをコントロールする治療になるね。」

郁人さんの言葉を聞き、わたしは心がガクッときてしまったが、それよりも心配なことがあった。

「あ、あのぉ···、仕事は·······」
「仕事は、今の状態で続けるのは難しいかな。」
「でも、わたしが休んでしまうと···」
「麗月さん。自分がこんなになってまで、仕事の心配をする必要はないよ。麗月さんの身体は、一つしかないんだからね?」

郁人さんにそう言われ、納得してしまうわたし。

でも、仕事せず···わたし、どうやって生活していけばいいのだろう。
< 56 / 69 >

この作品をシェア

pagetop