この恋に名前をつけるとするならば
その後、わたしは郁人さんに処方してもらった薬を持って自宅に帰った。
命くんは「俺の家に一緒に帰ろう!」と言ってくれたが、わたしは「一人で考える時間がほしい。」と言って帰って来たのだ。
わたしは家に帰ると、真っ先に布団に潜り込んだ。
頭が痛い、身体中が痛い、身体が鉛のように重たい、怠い···――――
食欲もなく、水分さえ口にする気になれなかった。
職場の方は、郁人さんが何とかしてくれたらしい。
職場環境を労基に伝え、監査が入る事になり、その間は事務所自体が休みになっているようだ。
気付けば電気も点けずに部屋の中は真っ暗になっていた。
すると、枕元でスマホが振動し出した。
今は誰とも話す気になれない。
しかし、スマホは鳴り止まず、わたしは仕方なく電話に出る事にした。
「···はい。」
『あ、麗月?』
電話の声を聞いて気付いたが、電話の相手は雅だった。
『なんだ、元気ないなぁ?俺が居なくなって、寂しくなったか?』
そう言って笑う雅だったが、今のわたしのメンタル状態は、冗談を笑い、言い返せる程正常ではなかった。
『麗月?どうしたんだよ、何かあったのか?』
いつものわたしの様子と違う事に気づいた雅は、心配そうな声色で言う。
すると、なぜか涙が溢れてきてしまって、わたしは何も言えず、ただ涙を流す事しか出来なかった。
『麗月、今家?』
「···うん。」
『わかった、すぐ行く。』
雅はそう言うと電話を切った。
それから30分もしない内に雅が家にやって来た。
寝室の電気を点け、ベッドでうずくまるわたしを見て「何があったんだよ。」と優しい口調で言いながらわたしの傍まで歩み寄って来る雅。
雅はわたしの目の前にしゃがみ込むと、わたしの頭を撫で「痩せたな。」と一言言って、無表情のわたしをみつめた。