この恋に名前をつけるとするならば
「ちょっとお邪魔するわよ。」
そう言って、玄関の中に入る芽衣さん。
わたしは部屋の中へ入ってもらおうとしたが、芽衣さんは「ここでいいわ。」と言い、中へは上がろうとしなかった。
「すいません、こんな格好で······」
わたしがそう言うと、芽衣さんは「別にあんたの格好なんてどーでもいいわ。」と言い放ったあと、胸の前で腕を組んだ。
「それより、あんたのせいで大変なことになってるのよ!」
「えっ?」
「命がアッシュリーガルを抜けるって!あんたを支えて行く為とか言って、就活始めちゃったのよ!!!」
「え、そんなぁ···命くんが······?」
命くんが就活?わたしのせいで······
「もう、あんたのせいでめちゃくちゃよ!!!」
「···ごめんなさい。」
「謝罪なんていいわ。その代わり、命と別れて。」
"命と別れて"――――
芽衣さんから放たれた言葉にわたしは言葉を失った。
「あんたさえ居なくなれば、うちのバンドは元通りになるのよ!!!せっかくのメジャーデビューのチャンスなの!!!邪魔しないでよ!!!」
わたしは、邪魔な存在···――――
わたしさえ、居なくなれば···―――――
「お願いだから、命を解放してあげて!!!」
芽衣さんはそう言うと「いい?命とは別れてよね?命は、あんたなんかに相応しくないんだから。」と最後に言い放ち、勢い良く家から出て行った。
やっとの思いで立っていたわたしは、その場に座り込むと、壁にもたれ掛かり体育座りをした顔を伏せた。
あんたさえ居なくなれば···―――――
命を解放してあげて!!!―――――
命は、あんたなんかに相応しくないんだから―――――
芽衣さんに言われた言葉が鋭くわたしの心に突き刺さり、まるで血が流れ落ちるようにわたしの心は音を立てて崩れ落ちていくのが分かった。
わたしは久しぶり声を出して泣いた。
泣いても泣いても、涙は止まらない。
涙って、枯れることがないんだと、わたしはこの時に初めて知った。