この恋に名前をつけるとするならば
それからわたしは、何時間その場で泣き続けたかわからない。
まるで廃人のように動けず、涙でグシャグシャになった顔すらも整う気さえ起きない。
すると、インターホンが鳴り、玄関のドアを叩く音がした。
「麗月さん?麗月さん?」
玄関の扉の向こうから微かに聞こえてくる声。
それは、紛れもなく命くんの声だった。
しかし、わたしはその場から動かずにただわたしを呼ぶ命くんの声を聞いている事しか出来なかった。
その時、ガチャッという音と共に玄関の扉が開く気配がした。
その途端「麗月さん!!!」と言う命くんの声が駆け寄って来て、わたしを思い切り抱き締めた。
「麗月さん···、心配したよ。何回電話をかけても出ないから······」
命くんの温もりに触れ、自然と涙がこぼれ落ちてくる。
しかし、わたしの気持ちは複雑だった。
嬉しいはずなのに、触れちゃいけない罪悪感で胸が押し潰されそうになったのだ。
「麗月さん、とりあえずベッドに戻りましょう?」
そう言って、命くんが優しい言葉をかけてくれる度に苦しくなる。
わたしは、お姫様抱っこをしようとしてくれる命くんの腕を拒否し、「やめて···」と言った。
「えっ?麗月さん?」
「命くんは、ここに来ちゃいけないよ···」
「えっ、何言ってるんすか?」
「命くんは···、わたしに構わないで?」
「麗月さん?どうしちゃったの?」
わたしの態度に困惑する命くん。
わたしはゆっくり顔を上げると、涙を流しながら命くんにこう告げた。
「命くん···、別れよ?」