この恋に名前をつけるとするならば
「え···えっ?麗月さん?どうして?俺の事、嫌いになっちゃった?」
「···違うの。」
「じゃあ、なんで?!俺が頼りないから?!」
焦る命くんはわたしの腕を掴み、何度も「何で?!どうして?!」と訊いてきた。
しかし、わたしは上手く説明出来ず、ただ泣く事しか出来なかった。
「麗月さん、心配しないでよ?俺が何とかするから!俺が、」
「ダメだよ、命くん。」
「ダメって······」
「命くんは、アッシュリーガルのボーカルでしょ?ボーカルが居なくなるのは、ダメだよ。」
わたしは必死で涙を堪えると、無理に笑顔を作り、命くんに笑って見せた。
「わたしは大丈夫。だから···、命くんは夢を追いかけて?わたしの為に、バンド辞めないで?」
命くんはわたしを見つめながら、一筋の涙をこぼした。
潤んだ命くんの瞳に映るわたしの姿は、あまりにも酷いものだった。
「命くん、頑張ってね。わたしは···陰ながら応援してるから。」
「陰ながらって···、もう会えないの?」
「命くんはバンド活動に集中しないと。わたしの事なんか考えてる暇ないよ。」
「麗月さんの心配くらい、させてよ。」
命くんはそう言ってくれたが、わたしは首を横に振った。
あぁ、ダメだ···――――
これ以上一緒に居たら、わたしの気持ちが···――――
「さぁ、命くん。そろそろ帰ってくれる?」
「え、そんなぁ···俺は、麗月さんと一緒に居たいよ!」
「ダメなの!···それは、ダメなの!」
わたしはそう言うと、命くんの胸を押し返した。
「命くん、さよなら。元気でね。」
一方的なわたしの別れの言葉に、命くんは何も言わずに俯いた。
そして立ち上がると、拳を握り締めたまま何も言わずに家から出て行った。
(わたし、命くんを傷付けた······)
わたしはその場に泣き崩れると、心の中で何度も命くんに謝った。
命くん、ごめんなさい。
こんな事になって、ごめんなさい。
本当は一緒に居たかった。
でも、命くんの人生の邪魔をしたくないの。
命くん、短い間だったけど、大好きだったよ···―――――