この恋に名前をつけるとするならば

気付けば、わたしは身体が痛い事も忘れ、ベッドから飛び降りようとしていた。

しかし、身体が思うように動かずに床に手を付き転んでしまった。

「麗月さん!」

そう言って駆け寄ってくれた命くんに、わたしは思わず抱きついた。

「命くん···っ······!」
「麗月さん、ずっと···会いたかった···!」

そう言い、強く抱き締めてくれる命くんの温もりをわたしの身体は覚えていた。

わたしにとって一番落ち着いてしっくりくるのは、やっぱり命くんしか居ないんだ。
この時、わたしは改めて再確認する事が出来た。

「まぁまぁ、見せ付けてくれるねぇ。」

その声にハッとし、寝室のドアの方を見ると、そこには悪戯な笑みを浮かべる雅の姿があった。

「えっ、雅?」
「雅さんが連れて来てくれたんだ。」

命くんの言葉に驚き、わたしは言葉が出てこなかった。

雅が、命くんを連れて来てくれたの?

「麗月、ずーっと抜け殻みたいで、見てらんなかったんだよ。悔しいけど···、麗月の心のケアをしてやれるのは俺じゃないみたいだ。だから、メジャーデビューが正式に決まって、麗月を迎えに来られる状態になったら会わせてやるって、そいつと約束してたんだよ。」

雅の言葉に驚きつつもわたしが命くんを見上げると、命くんは切なく微笑み「待たせてごめん。やっと、迎えに来れたよ。」と言ってくれた。

「わたし···、命くんと一緒にいていいの?」
「俺は、麗月さんが一緒にいてほしい。」
「わたし、邪魔じゃない?」
「そんなわけないよ。麗月さんが居ないと、俺、頑張れないんだ。」

命くんは優しい口調でそう言ったあと、「だから···、一緒に帰ろう?」と言い、わたしが涙を流しながら頷くと、そっと抱き締めてくれた。
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