最愛の灯を吹き消す頃に。
キスをした。

ちーくんのくちびるが私のくちびるにそっと触れた瞬間に、私の何もかもがちーくんのものになったと思った。

心臓も細胞も心も何もかもが溶けてちーくんと半分こずつ分け合っている。

そんな不思議な感覚を生まれて初めて知った。

ちーくんが何者でもいい。
何者にもなれなくったっていい。

これから生きていく時間の全てを彼に捧げてもいいとさえ思えた。

「ニーナ、ごめんね」

「なんで謝るの」

「自分のことばっかり押し付けて。小説のこともニーナのことも片手間にはしたくないんだ」

「うん。ちゃんと分かってるよ」

「今は小説のことを優先しちゃうけど落ち着いたらちゃんとデートしようね」

「デートは大丈夫だってば。ちーくんが居る場所がいいの」

「じゃあおうちでいっぱいデートしよ」

「おうちでデートってどんなこと?」

「こんなこと」

悪戯をするみたいにふれたくちびるが憎い。
もっと触れていたくなる。
ちーくんの好きにして欲しくなる。
その心臓に私の名前を刻んで欲しい。
二度と二人が別々にならないでいいように。
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