最愛の灯を吹き消す頃に。
大切な人が病気や怪我で苦しんでいる時は自分の心もしんどいのだと、生まれて初めて知った。

だからもう、例えばここからは見えない場所だとしてもどこかで君の呼吸が繰り返されている、
ちゃんと生きているのだと思えるだけで頑張れることを知った。

人間は生きているだけで常に生死の狭間に立たされている。
生きていることが当たり前ではない。

その生死が神様の采配だとしても、自ら選択したことだとしても、「やっぱり死んでおけば良かった」なんて、大切な人には知らない感情でいて欲しい。

「俺を、もう一度信じてくれますか」

「書くんでしょ。小説を」

「同じものは二度と生まれないかもしれない。でもそれ以上を創り出してみせる。その気持ちでもう一度取り組んでみるよ」

「親友くんも、私も居るよ」

「生殺与奪、くれたね」

「え?」

「死の感情から生きる希望を与えてくれた。ちゃんと見ててくれてありがとう」

心臓の灯が黄色に変わっている。
また少しずつ、夢を食べて生きている。
その変化がたまらなく嬉しかった。

「一緒に居ようよ」

「ニーナが居てくれたら安心だ。小説とニーナ。俺の半身だよ」

「ちーくんの細胞にだってなれるくらい、呆れるくらいそばに居るね」

「ねぇ、この感情ってさ。なんて言うんだっけ…ああそうだ」

「なぁに」

「最愛」
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