最愛の灯を吹き消す頃に。
「さゆみなんでそんな最低なこと言うの笑えないよ」

さゆみがキュッと下くちびるを噛む。
泣いたのだろうか。
目が赤い。

「そんな最低な嘘、新凪に言うわけないじゃん。親友でしょ」

「じゃあなんで言うの」

「にいなぁ…。あのね、ホームルームで九条先生が言ったでしょ。元宮くんが…亡くなったって…」

「知らないっ!!!」

叫んだ私の声に応えるように、閉め切られていたカーテンがシャッと開けられた。

「大丈夫!?」

保健医の先生が眉間に皺を寄せて私達を見下ろしている。

「ごめんなさい。少しここで話していってもいいですか」

「構わないけど…。あんまり大声出さないようにね。無理もないけど…」

さゆみが小さく頭を下げた。
私は窓の外に視線を向けた。
十二月に入ってからは空の色が薄い。
街全体が灰色に見える。
その分、人の心臓の灯が鮮やかに映った。

目の前のさゆみの心臓の灯は黄色い。
健康状態に問題は無さそうなのに。
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