最愛の灯を吹き消す頃に。
朝礼台の下にうずくまる私を、慌ててさゆみが抱き締めてくれた。
背中をさすってくれる手のひら。
小さい頃、お母さんにそうされながらお昼寝をしていたことを思い出す。

どうして。

なんでちーくんがインフルに罹ってしまうこと。
死が迫っていることに気づけなかったんだろう。

私にはいつから「いち」の灯が見えなくなっていた?

ていうかちーくん、やっぱり嘘つきじゃん。
傑作はどうするの?
あなたのように苦しんで、それでも生きていかなきゃいけない人達の救いはどこにあるの?
小説を書くんでしょ?
傑作に辿り着けたら一緒にご褒美するんでしょ。

…ああ、違う。
今、考えなきゃいけないことはそれじゃなくて。

最愛の灯を吹き消したのは私だと思った。

あんなに苦悩して、二人で乗り越えてきた沢山の壁。

どんな時でも強く再熱する「に」の虹色に、私は盲目になってしまっていたのだ。
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