最愛の灯を吹き消す頃に。
夢への炎が強くなるたびにちーくんの希死念慮は灯を潜める。
だからちーくんが抱える希死念慮以外で、あなたが死んでしまうことなんてありえないのだと思っていた。

だって幸せだったから。
ちーくんと生きている瞬間がどうしようもなく幸せだった。

夢を語るあなたの笑顔がどうしようもなく好きだった。

恋は盲目。
命の本質すら見えなくしてしまうほどに。

生殺与奪。

私はちーくんとの約束を果たしてしまったのだ。

夢に水を与えて死を奪い続けた私は、ただの普通の、一人の人間としての命から目を逸らした。

人はいつか死ぬ。

望んでも抗っても、平等に死はやってくる。
死と隣り合わせに生きてきた私がそんなことを見失うくらいに、ちーくんが生きている時間が好きだった。

死なないでと願った。

本当は傑作が書けなくなってしまっても、夢への希望が失われて生きてきた時間を救えなかったとしても、
私が居るから大丈夫だって、あなたが生きていていい場所はここにあるんだって、
それだけを願っていた。

その心だけで生きていていいはずの、普通の十四歳だったのに。
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