最愛の灯を吹き消す頃に。
春。

中三になってもさゆみとは同じクラスになれた。

ちーくんの告別式が終わって、すぐに冬休みに入った。
さゆみと約束していたカーディガンは買いにはいかなかった。

「生きている」という行為を、ぬくもりを感じてしまうことが怖かった。
できるだけ冷たい場所に。
刺すような冷たさでもいい。そうしていないと自分が生きている感覚すら忘れてしまいそうだった。

なのにさゆみは冬休み中、ほとんど毎日コーンスープの缶を持って遊びに来た。

「新凪、泣いてたから」

「泣いてた?」

「告別式の日。ファミレスでポタージュスープ飲んだんだよ。あったかいって、泣いてた」

「そうだっけ」

「思ったの」

「何を?」

「ああ、この子の″あったかい″を絶やさないでいようって。だって新凪、簡単に死んじゃいそうで怖かったんだもん。私では元宮くんの代わりにはなれないかもしれない。でもこれ以上大切な人を失くしたくないよ。だから私のわがまま」

「代わりとかじゃないよ」

「そうだよね」

「さゆみもだよ。誰かの代わりとかじゃない。さゆみじゃなきゃだめなことだらけだよ」

「にいなぁー」

冬休みが明けると、三学期はあっという間に過ぎていった。

みんながちーくんのことを忘れてしまったわけではない。
それでも冬休み中にそれぞれの心の中で整理をしたのか、クラスにも少しずつ笑顔が戻ってきていた。
< 140 / 147 >

この作品をシェア

pagetop