最愛の灯を吹き消す頃に。
「死よりも選びたいと思っている夢に君が命を与えてよ」

「私が?そんなことできるの」

「俺もみんなと同じ。生きるのも死ぬのも本当は怖いんだ。かと言って小説を純粋に書き続けられるほど強くもない。それでも本気で思ってる。たった一つくらい、俺の価値を俺が認めてあげてもいいだろって」

「うん。そうあって欲しいよ」

「君の目で見て。俺の命を。真中さんが導いてくれる限り、俺は自分で死を選んだりしない。夢の灯だけを信じて書くよ。俺が″傑作″を書けた時、君がスイッチを押してよ。そしたら俺は俺を認めて、愛してあげて、ちゃんと死ねるから。君はその権利に、約束に縋って生きて」

「元宮くんと一緒に?」

「真中さんがそうしてくれるなら」

へんてこりんな契約だと思った。
それでも、私の性質は他人に死を与えるものではなく、命を与えることもできるのだと初めて思えた。

私は元宮契を信じる。
元宮契もきっと私を待じる。

「ねえ、それって」

「うん?」

「それってもうさ、愛じゃんか」
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