最愛の灯を吹き消す頃に。
「ねぇ、どんな小説書いてるの」

「死生観とか希死念慮についてがやっぱ多かったんだけど。そこにフィクションで恋愛要素絡めてみたり、サスペンスにしてみたり。リアタイで書いてるのはちょっと違うけどね」

「どんなの?」

「あっちに残してきた親友の話」

「あっちって転校する前の街?」

「うん。小学校の時に一度引っ越してるって話したじゃん。その時からの親友なんだけど、そいつも夢を持っててさ。役者になるって夢。小学生の頃から劇団に所属してるんだ。素人から見ても才能がある奴だと思うんだけどこいつもなかなか運悪い奴でさ。その親友の半生っていうか。まだ中学生だし半生も何もって感じだからいろいろフィクションにはしてるけどね」

「へぇ。親友くん、きっと喜ぶね」

「賞が獲れたらね。ただ小説にしただけじゃ素直に喜んだりしない奴だから」

ほんのちょっと悪態をつきながらもちーくんの表情は朗らかだった。
小説家と役者。
親友同士で追いかけている夢を認め合い、支え合える関係が素敵だと思った。

「あ、じゃあさ。ちーくんが小説家で親友くんが役者になったら、ちーくんが脚本書いてあげたりもできるかもね」

「わ。ニーナ天才のてんちゃんじゃん」

「てんちゃん!何それぇ」

「可愛いでしょ」

「ね、私もちーくんの小説読んでみたいな」

「今はだーめ」

「どうして」

「俺さ、才能無いんだ」
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