最愛の灯を吹き消す頃に。
七月に入って、上昇し続ける地球の気温に比例するように教室もどんどんと暑くなっていった。
各クラスには冷暖房が完備されているけれど毎時間は使えない。
クーラーをつけることができない時間は、天井に数台設置されたファンが回されている。
クーラーを消した直後はマシだけど、そのうち教室内のぬるい空気を回しているだけになるファンには、誰も期待なんかしていない。
四時間目が終わった直後の十分間は相変わらず九条先生の窓開けルールが執行される。
けれど夏場はクラス中が大喜びでこのルールに従っている。
この十分間が終われば昼休み中、クーラーをつけることができるからだ。

「新凪ぁ、今日お弁当?」

「うん」

「新凪のお母さん働いてんのにほんとマメだねぇ」

「そうだね。感謝感謝」

お昼休みのお弁当は誰とどこで食べても自由だった。
春や秋、外が過ごしやすい季節は教室以外で食べる生徒も多いけれど、この時期にはほとんどが教室から出ようとはしない。

「席借りまーす」

さゆみがちーくんの席に座りながら、朝コンビニで買ってきていた冷やし中華のパックを袋から取り出した。

私もお弁当箱をランチポーチから出した。
お弁当箱の上には保冷剤が乗っている。

生徒は持ってきたお昼ごはんを冷蔵庫に入れることはできないから夏場は衛生的に少し心配な面もある。
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