最愛の灯を吹き消す頃に。
天気予報では夜から雨が降ると言っていた。
朝から快晴だったから帰るまでは平気だろうと傘は持ってきていない。
見上げた空がだんだんと灰色に染まってきていて不安になる。

「あのね、ちーくんのことは人のことだから私の口からは話せないんだけど。ちーくんが転校してきた日、たまたま放課後一緒になって、家が近いから一緒に帰ることになったの」

「言ってたね」

「私ね、ちょっとあんまり人には言いたくないことで悩んでて」

「そうなんだ」

「うん。知られるのが怖いって思ってること。だから今は桑原さんには話せないんだけど。ごめんね」

「いいよ別に。話したくない人に無理強いする趣味は無い」

「ありがとう。なんかね、ちーくんと話してる時、ちょっと見透かされちゃったっていうか。私自身一人で抱えてることに限界を感じてたのかもしれない。だから今この人に話して、もし引かれちゃったとしても初対面だし、なんの関係性も構築してないから別に怖くないやって思ったんだよね。そしたら自然に打ち明けてたっていうか。それからちーくんの話も聞いて。それでお互いが支え合える部分は支え合っていこうよみたいなことになったって感じなの。ごめん、やっぱりよく分かんないよね」

「羨ましいって思う」

「羨ましい?」

「そりゃよく分かんないよ。なんにも知らないんだからなんて答えてあげていいかも分かんない。それでも運命ってあるんじゃないかなって思う。そういう人に出逢った時、なんでこの人には心を許せたんだろうって、理由なんかなくても自然とそうなっちゃうのかなって。分かんないけど。それが真中さんと契くんはお互いがそうだったのかなって。だから羨ましい」

「やっぱり桑原さんは凄いね」

「抽象的だなぁ」

「桑原さん」

「何」

「明日からは学校でも、もっと話しかけてもいいかな」

「は?当たり前でしょ。クラスメイトなんだから」

「へへ。ありがとう」

「ほんと変な子」
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