最愛の灯を吹き消す頃に。
少しずつ、もうちょっと話をしてみたいなって思う人が増えていく。

もっとちゃんと話をしなきゃいけないなって、存在感がどんどん強くなっていく人も居る。

そのたびに私は話せない自分のことがどんどん、どんどん苦しくなる。
あなたの命のカタチが見えていると言ったら私の居場所なんて一瞬で吹き飛んでしまうのではないか。

これから何度こういう場面に直面して、私は私のことを諦めていくのだろう。

「じゃ、あたしこっちだから」

「うん。ばいばい」

桑原さんは橋を渡らずに右の歩道へと進んでいく。
うちまでは橋を渡らないと帰れないけれど、雨が降る前だからだろうか。
ジメッとした蒸し暑さにやられてアイスが食べたくなった。
橋を渡らずに左へ少し行けば横断歩道がある。
その先にあるコンビニへ行くことにした。
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