最愛の灯を吹き消す頃に。
自宅に帰ってきて、「新凪は少し休んでなさい」ってお母さんが言ってくれたから自分の部屋でちょっとだけ眠ろうと思った。

「新凪」

「お兄ちゃん?」

ドアがノックされて、お兄ちゃんが入ってきた。

「死神って言ってごめん」

「え、ああ…もういいよ」

「妹を守ることもできないで、どう接していいかも分かんないまま、俺自身がここまで拗れてしまってた。マジでダセェわ。元宮くん、だっけ。死神とか言ったのも新凪から他人を引き離したほうがいいって思ってたからかもしれない。そうすれば必要以上に他人のことで苦しむこともないだろ。それは俺達が決めることじゃないのにな。でもさ、彼は知ってるんだろ」

「知ってるって?」

「本当の新凪のこと」

「なんでそう思うの」

「新凪が家族には見せない目をしてた。信頼の目だった。だから全部話してるんだなって思ったんだ。新凪、良かったな」

「うん…うんっ…」

「お前には無理な話かもしれないけどさ。これからは頼れる兄貴になるよ」

「ありがとう。今日からはさ私達も、もっと話をしようよ。お兄ちゃん」

「ああ」

「そうだ、お兄ちゃん」

「ん?」

「ごめんね。階段から落ちそうだって教えてあげなくて」

「…お前なぁ」

ふっと小さく笑って、照れ隠しみたいに頭を掻きながらお兄ちゃんは出ていった。
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