最愛の灯を吹き消す頃に。
教室の後ろのドアが開いて、ちーくんが登校してきた。
教室の中心にみんなが深刻な顔をして集まっているのを見てちーくんもきょとんとしている。

「何、みんなどうしたん」

男子がちーくんに一部始終を説明した。

ちーくんは「ニーナすげぇじゃん!」って大袈裟に褒めてくれた。

「みんなはさ、奇跡って信じる?」

「奇跡?」

佐々木さんが、今はもう泣き出しそうな目でちーくんを見据えている。

「どんなに小さなことでもいいんだ。一生見つからないと思っていた大切な物が、何度も探した場所からある日突然見つかったり、一発で推しの何かが当たったとか」

「あるある!マジで奇跡、運命だって思うよね!」

さゆみが嬉しそうに声を挙げる。

「生きてれば奇跡なんていくつでも起こるだろ。奇跡の供給過多みたいに一気に起こっちゃうことだってあると思うよ。神様はきっとバランスなんて考えてくれないからね」

おどけて言うちーくんにみんながクスクスと笑う。

「ニーナは今、供給過多の状態ってわけ。でもきっとそれだけじゃないよ」

「どういうこと?」

佐々木さんの親友ちゃんが答えを求めて、ちーくんが私の前に立って、ニコッて微笑んだ。
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