最愛の灯を吹き消す頃に。
「ちーくん、今朝はありがとね」

「俺?なんもしてないじゃん」

「みんなの前で言ってくれたこと嬉しかった」

「あれで収まったのは結局ニーナの人望でしょ。元々ニーナを嫌いな奴が大勢居るんならあれくらいじゃ収集つかないでしょ。なんとしてでも村八分にしてやろうって思うだろうし。それにさ、桑原さんもかっこよかったじゃん」

「うん!休み時間にね、桑原さんにもお礼言いに行ったの」

「桑原さんはなんて?」

「自分も間違ったからって言ってた」

「間違ったって?」

「ちーくんとゴタゴタしちゃったことあったでしょ」

「あー、あったね」

「その時に自分の感情だけで突っ走って私達に酷い言い方をしちゃったって。その時に思ったんだって。人の本質を見ようともしないまま面白いほうに流されたり、自分を正当化するために平気で人を傷つけるような恥ずかしい人間にはなりたくないって」

「かっけー」

「ね。でね、私思ったの」

「何を?」

「私は人の心臓の灯が見えてしまうけど、桑原さんみたいに目には見えなくても人の心を見ようとしてくれる人は居る。だったら誰も特別なんかじゃない。私は最初から与えられてしまったけど、見えない何かを手探りでも理解して寄り添いたいって思える優しい人がいっぱい居るんだって分かった。病気とか怪我とかだけじゃないよね。支え合って、心が救われるから人って生きてるんだよね」

「ニーナもかっこいいよ」

「私はなんにもだよ」
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