最愛の灯を吹き消す頃に。
「学校だって人混みじゃん」

「学校を人混みとはあんまり言わないよ。それに学校は義務だから」

「しゃーなし?」

「しゃーなし、しゃーなし」

「えー。でも遊ぼうねぇ?」

「いっぱい遊ぼうね」

「やったあ」

「宿題もね」

「ゲェ」

これにしようかなって言ってさゆみは一冊の本を棚から引き抜いた。

学校を舞台にした長編サスペンス。
読んだことはないけれど有名だから知っている。

「意外。恋愛物選ぶと思ってた」

「この前映画で観たから」

「ああ」

「内容憶えてるし」

「ずる」

へへへって可愛い笑顔で笑いながらさゆみは閲覧スペースへと歩いていく。

憶えているのなら読まなくてもいいのに、原作と映像は内容が少し異なるからだろうか。
さゆみはそういうところで案外真面目なのだ。
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