最愛の灯を吹き消す頃に。
「へぇ。霧森(きりもり)さんっていい子だね」

「うん。さゆみとはずっと仲良しでいたいな」

さっきまでキーボードをリズミカルに叩いていたちーくんがグッと背伸びをして、「きゅうけーい」って言いながら私が座っているソファの隣に腰掛けた。

背もたれに頭を預けて姿勢悪くだらんとしているちーくんを見ていると私まで眠たくなってくる。

一学期から今日までのさゆみとの出来事を話していたら「いい子」だと言われてなんだか私も嬉しくなる。

「小説は順調?」

「うん。今はね、十一月締め切りのコンクールのやつ書いてるんだけどね」

「この前言ってた親友くんのだよね」

「そうそう。親友ともたまに連絡取ってインタビューしてるんだ。リアリティが欲しいからね」

「なんかいいね」

「いいって?」

「離れてても夢が二人を繋いでくれてる感じ」

「ん、そうだな。てかさニーナ、どこか遊び行きたい?」

「なんで?」

「せっかくの夏休みだし。室内ばっかじゃつまんないかなって」

「平気だよ?ちーくんは小説書かなきゃなんでしょ。書いてるとこ見るの好きだし、なんなら二人っきりだしね!」

「二人っきり?」

「えぇっと…うん。ほら、外に出たらいっぱい人が居るけどおうちならちーくんを独り占め…っていうか…その、人が多いと私、酔っちゃうし…」
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