最低シンデレラ〜元カレ公爵様の唯一らしい〜
序 むかしむかし
序章1 御伽話
──酒。賭博。女。
戦地で「彼」が娯楽にしたのは女だった。セックスだった。
エミリーはそんな彼の「女」でセックスの相手。セフレだった。
まあ、孤児だったし。彼の直属の部下だったし。彼のそばにはめぼしい女もいなかったし。彼は顔が良かったし。彼は伽が上手かったし。つまり、まんざらでもなかったし。エミリーは、そうはなから諦めてしまって、彼に身体を委ねていた。理由という名の自分を麻痺させる言い訳なら、いくらでも挙げられた。
──エミリー、愛しているよ。
行為のとき、彼はよくそんなふうに調子のいいことを言っていた。心にもなかったことだろうに。
きっと、女を繋ぎ止めるだけの、嘘。都合のいい相手を縛りつけておくだけの、鉄鎖。
まったくもって自分勝手な男だった。でも、そんな虚構を耳元で甘ったるく囁かれるのは嫌いではなかった。嫌いではない自分に嫌悪感を抱いていた。
やはり自分は都合のいいセフレ。そう言い聞かされているようで。睦言が説教になってしまっては、途端に萎えるものだ。それでも、彼の声を聞いている瞬間だけは、戦地での様々を忘れられた。
エミリーは朝食を抜いた。抜かざるをえなかった。食費がかさむからだ。ろくに食物の入っていない腹には、閑古鳥が鳴いているし、腹の虫そのものも、ぐうと鳴いているし。窓の外のカラスは嘲笑うように鳴いていることだし。
戦地で「彼」が娯楽にしたのは女だった。セックスだった。
エミリーはそんな彼の「女」でセックスの相手。セフレだった。
まあ、孤児だったし。彼の直属の部下だったし。彼のそばにはめぼしい女もいなかったし。彼は顔が良かったし。彼は伽が上手かったし。つまり、まんざらでもなかったし。エミリーは、そうはなから諦めてしまって、彼に身体を委ねていた。理由という名の自分を麻痺させる言い訳なら、いくらでも挙げられた。
──エミリー、愛しているよ。
行為のとき、彼はよくそんなふうに調子のいいことを言っていた。心にもなかったことだろうに。
きっと、女を繋ぎ止めるだけの、嘘。都合のいい相手を縛りつけておくだけの、鉄鎖。
まったくもって自分勝手な男だった。でも、そんな虚構を耳元で甘ったるく囁かれるのは嫌いではなかった。嫌いではない自分に嫌悪感を抱いていた。
やはり自分は都合のいいセフレ。そう言い聞かされているようで。睦言が説教になってしまっては、途端に萎えるものだ。それでも、彼の声を聞いている瞬間だけは、戦地での様々を忘れられた。
エミリーは朝食を抜いた。抜かざるをえなかった。食費がかさむからだ。ろくに食物の入っていない腹には、閑古鳥が鳴いているし、腹の虫そのものも、ぐうと鳴いているし。窓の外のカラスは嘲笑うように鳴いていることだし。
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