エリート救命医と身代わり花嫁の再会愛。
「大丈夫だよ。俺がいるから」
その言葉に頷こうとした、その時だった。テーブルの上のスマートフォンが、振動した。
画面に表示された名前を見た瞬間、空気が変わる。
それを見て私の体が、反射的に強張った。さっきまであんなに温かかった部屋の空気が、一瞬で冷えた気がした。
胃の奥がきゅっと縮む感覚。この感覚は、身代わりとしてここに来た日から、ずっと続いている。
航大くんの手が、すっと私の手を握る。
「出なくていい」
静かな、でも迷いのない声だった。
「でも……」
「録音しながら出るか、出ないかのどちらかだ。はるちゃんが決めていい」
航大くんはすでにスマートフォンを取り出して、録音アプリを開いていた。その準備の早さに、彼がずっとこの瞬間を想定して動いていたことが伝わった。
いつでも来い、と待ち構えていたように。