エリート救命医と身代わり花嫁の再会愛。



 私は深く息を吸う。怖い。とても怖い。
 でも、逃げてもどうにもならない。今のところは現状変わらない。

 そして、もう一つ気づいていることがある。今の私には、航大くんがいる。一人じゃない。それだけで、二週間前とは全然違う。



「……出る」


 航大くんが頷いて、録音を開始した。
 私はスマートフォンを手に取り、通話ボタンを押した。


「——はい」
「遅い。何をしていた」


 相変わらず温度のない声。でも今日は、いつもより少し硬い気がした。
 電話越しでも、何か焦りのようなものが伝わってくる。いつもの、完全に余裕を持った冷たさじゃない。





< 106 / 159 >

この作品をシェア

pagetop