エリート救命医と身代わり花嫁の再会愛。
「どちらにしても、院長が二人を意のままに操っていたことは変わらない。麗の件も含めて、正式な手続きに織り込む。麗が被害者であれば、そちらの保護も含めて動ける」
「……麗を、助けることはできるの?」
自分でも驚くくらい、自然にその言葉が出た。さっきまで麗への怒りがあった。今もある。でも、パスポートを取り上げられてパリに閉じ込められている麗を想像したら、怒りよりも先に、別の何かが湧いてきた。
航大くんが少し目を細めた。
「やってみる。パスポートを預けさせているなら、それ自体が違法行為になりうる。麗の意思確認ができれば、動ける。凛太郎くんにも、麗本人への連絡経路を探してもらっている」
「……うん」
私は小さく頷いた。麗のことを、まだどう思えばいいのかわからない。怒りも、心配も、少しの理解も、全部がごちゃごちゃに混ざっている。でも、助けられるなら、助けた方がいいと思った。それだけは、はっきりしていた。
「はるちゃん」
航大くんが私の名前を呼んだ。
「無理に整理しなくていい。麗への気持ちも、今すぐ答えを出さなくていい。ただ、知っておいてほしかった」
「……ありがとう、教えてくれて」
彼は私の額に、静かにキスを落とした。さっきの甘いキスとは少し違う、ただそこにいるよ、と伝えるようなキスだった。