エリート救命医と身代わり花嫁の再会愛。
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航大くんが出ていった後、時間がひどくゆっくりと流れた。
何をしようとしても手につかなかった。お茶を淹れて、一口飲んで、また置いた。本を開いて、三行読んで、閉じる……その繰り返し。結局ソファに座ったまま、窓の外の空が白から青に変わっていくのをぼんやりと眺めた。
今頃、航大くんはどこにいるだろう。
伯父と向かい合って、どんな顔をしているだろう。あの静かで、揺るがない声で——淡々と、全部を突きつけているのだろうか。
凛くんからメッセージが届いたのは、午前十時過ぎだった。
【告発状、提出しました。弁護士が動いています。あとは航大さんに任せましょう】
少し間を置いて、もう一つ。
【悠南、今日まで本当によく頑張ったな。これからは、自分だけの幸せを考えてほしい。君の幸せを願っているよ】
その一文に、胸の奥がじわりと温かくなった。
それからなぜか、少しだけ泣いた。誰も見ていないから、そのまま泣いた。怖かった日も、孤独だった夜も、全部がここに来るためにあったのだと思ったら、止められなかった。