エリート救命医と身代わり花嫁の再会愛。
今日は夕飯を作っていないということで、デリバリーを注文した。この付近にある老舗日本料理やさんのお弁当を二人で頼んだ。
一度食べてみたいと思っていたそこの名物弁当である蟹&牛の贅沢御膳弁当で、カニのちらし寿司に飛騨牛の甘辛煮を乗せた牛飯に蟹を贅沢に使った蟹焼売に豆腐のふんわり天や白身魚の西京漬焼き、さつま揚げ、小松菜胡麻浸しやこんにゃくの白和えにだし巻き卵に筑前煮が入っていて甘味にはわらび餅が三つ入っている豪華なお弁当だ。
「久しぶりにお店の弁当だ」
「そうだね、美味しそう」
そんな話をしながら食べ始めるとお互いお腹が空いていたのかパクパクと夢中で食べてしまった。
夕食を食べ終えて、片付けをすると二人でソファに並ぶ。
間接照明だけが灯る、静かなリビング。お茶の準備をしたのでテーブルの上にはトレーの上に急須と湯冷ましに湯呑みが並べられている。ポットから湯冷ましにお湯を入れて冷ましてから茶葉の入った急須にお湯を注いだ。時間を測り、お茶を湯呑みに淹れると湯気が上がっていてお茶のいい香りがする。
私には、ずっと言えないでいたことがあった。
何度もタイミングを探して、何度も言葉を引っ込めた。怖かったわけじゃない。ただちゃんと言えるようになるまで、まだ時間が必要だと思っていた。
でも今夜は、言える気がした。全部が終わったこの夜に、ちゃんと言いたかった。
「ねえ、航大くん」
「ん?」
「……ひとつ、言っていい?」
「ん? どうしたの?」
私は少し息を整える。
「私ね、ずっと自信がなかった。前付き合っていた時も、航大くんがどんなに優しくしてくれても、好きだって言ってくれてもどこかで、夢のようだって思ってた。麗の代わりになってからは彼女の身代わりだから受け入れてもらえているんだって思うようにしてたのずっと」