エリート救命医と身代わり花嫁の再会愛。
麗は視線を落として、コーヒーカップを両手で包んだ。
「あなたと彼をお父様に頼んで、引き離して榛名さんと婚約したけど、全然違った。あなたといる時はとても優しく笑っていたのに私といる時の顔が、まるで別人だった。笑わなかった。優しくもなかった。そこで初めて気づいたの……榛名さんは本当にあなたが好きだったって。好きじゃない私には興味もなかったんだって」
「……うん」
「言い出せなかった。失敗したって認めるのが怖くて。あなたに笑われるのも嫌で。だから逃げた。あなたを巻き込むことになると、わかってたのに」
麗の目が、少し赤くなっていた。
「最低だよね」
「最低とは言わない」
私は正直に言った。
「でも、巻き込んでほしくなかったとは、今も思ってる」
「……ごめんなさい」
麗の声が、少し震えた。
「うん」
受け取った。怒りはまだあるけど、簡単に消えるものじゃない。でも、麗の謝罪は、ちゃんと受け取ることができた。