エリート救命医と身代わり花嫁の再会愛。
「麗は今は住み込みで働いてるんだよね?」
「うん。凛兄さんの知り合いが老舗旅館の跡を継いだらしいんだけど、仲居さんを募集していたらしくてそこで寮ぐらししながら働かせてもらってるの。精一杯頑張るつもりだよ。まずは、自分の足で立てるように、なりたいって思ってるんだ」
「そっか」
「悠南は?」
「クリニックで看護師してるんだ。それと婚姻届出したの」
口にしてから、少し照れる。
「……え? もう、婚姻届出したんじゃ?」
「うん。私もそう思ってたんだけど、航大くんが嘘ついてたみたい。というか、最初から私が来ること知ってたんだって」
「そうなんだ、でもよかった。悠南、幸せになってね」
麗が、小さくそう言った。本当によかった、という顔をしていてこちらもホッとしてしまう。
「いつか、また普通に会えるかな」
麗が恐る恐る聞いた。
私は少し考えた。全部許せるとは、まだ言えない。傷が全部癒えたわけでもない。
でも、今日ここに来られた。それは確かなことだ。
「うん。会えると思う今日みたいに」
だから私はそう答えた。
すると麗が、ゆっくりと頷く。その目は、少しだけ潤んでいて嬉しそうに見えた。