エリート救命医と身代わり花嫁の再会愛。
夕方になって、空がオレンジ色に染まり始めた。
水平線の向こうに、太陽が傾いていく。オレンジ色の光が、海面に長く伸びてきた。波が、金色に光る。その景色が、あまりにも綺麗でしばらく二人で黙って見ていた。
航大くんの手を、少し強く握った。彼も、同じように握り返してくれた。
「帰ろうか」
「……もう少しだけ」
「そうだな」
もう少しだけ、二人でそこに立っていた。波の音を聞きながら、空の色が変わっていくのを見ながら。
帰りの車の中、夕暮れの道を走りながら、航大くんが片手でハンドルを持ったまま、空いた手で私の手を握った。信号で止まるたびに、少しだけ力が込もる。それだけのことが、胸の奥まで温かかった。
窓の外に、オレンジ色に染まった空が広がっていた。
「……ねえ、航大くん」
「うん」
「ありがとう」
「何が」
「全部」
航大くんは少しの間、黙っていた。信号が青になって、車が動き出した。