従姉の代わりに結婚したら、救急医(元カレ)の執愛に捕まりました。
屋敷に連れ戻され、重い足取りで廊下を歩いていたときだ。角を曲がったところで、一人の男性とぶつかってしまった。
「あ……す、すみませんっ」
見上げた先にいたのは、凛太郎さんだった。彼は私を一目見るなり、絶句したように目を見開いた。
彼の手にした書類がバサリと廊下に散らばってしまっている。
「……悠南? なぜ、悠南がそんな格好を……まるで麗みたいな」
彼の瞳に宿ったのは、激しい困惑と、そして深い怒り。だが、すぐにハッとしすべてを察した彼は、伯父の書斎へと向かおうと怒りで震えて立ち上がる。
「あのクソ親父……! 悠南、今すぐここを出るんだ。俺が……」
「待って、凛くん!」
私は咄嗟に、彼の袖を掴んだ。
今、彼が騒げば、父のクリニックが本当に潰されてしまう。それに、凛くん自身の立場だって危うくなる。
私が伯父や麗に嫌われていたのを知りながらも彼は幼い頃から私を守ってくれていた。だから、彼を毛嫌いしているのだ。彼の大切な奥さんのためにも壊させるわけにはいかない。