従姉の代わりに結婚したら、救急医(元カレ)の執愛に捕まりました。
「家具、好きじゃなかったら遠慮なく言ってくれ。あ、い、忙しくて弟に選んでもらったんだ……とりあえず、立ちっぱなしも疲れるしそこに座って」
麗が選んだのではないと知り、不謹慎にも安堵してしまった自分を心の底から憎く感じた。別れを一方的に告げた私には安堵する資格はない。
航大くんはすぐにキッチンへ立つと、お湯を沸かし始めた。
「お茶、何がいい? 弟が気を利かせていろいろ揃えてくれたんだよ」
棚には高級ブランドの茶葉が整然と並んでいる。最近、朝に紅茶を飲むのが習慣になっていたので見たことのあるアールグレイの茶葉を指差した。
「わかった。待っていてくれ」
しかし、ふと思い出した。航大くんは外科医としての腕は超一流で優秀だ。なのに、料理関連は絶望的に不器用だったことを……
なんだか嫌な予感がしてキッチンに近づく。すると、案の定……彼はやかんに茶葉をドバドバと直接放り込んでぐらぐらと煮出していた。
漆黒に近い、恐ろしく濃い液体が湯気と共に立ち上っている。