従姉の代わりに結婚したら、救急医(元カレ)の執愛に捕まりました。
帰宅後、航大くんはスマホを操作しながら言った。
「お風呂、もう沸いてるからまずはゆっくり入っておいで。色々疲れただろう」
「えっ?」
今、帰ってきたばかりなのに?いつ沸かしたのだろうか?
「スマホで予約ができるんだよ。実はカレー屋さんでやっておいたんだ」
「そ、そうなんだ……すごい」
「でしょ、だからゆっくりしておいで」
私はお言葉に甘えてパジャマを持って浴室に向かった。浴室は最新設備の整ったホテルのように広かった。 脱衣所の大きな鏡に映るのは、麗になりきるために無理やり切られブラウンピンクに染められた惨めな私だった。
短くなった髪を指で触ると、自分は偽物なのだと思い知らされる。
航大くんをたくさん騙していると言う罪悪感が込み上げる。そして、きっと航大くんも航大くんのご両親にも思われているだろう略奪女という一生消えない汚名。
そして、残酷なまでに変わらない彼の優しさと記憶の深さ。
私はお風呂から上がり、髪を丁寧に乾かしてリビングに戻る。そこにはすでにスーツに着替えている航大くんの姿があった。