エリート救命医と身代わり花嫁の再会愛。
「はるな同士、頑張りましょうね」
そんな他愛もない会話の一つひとつが、俺にとってはどんな賞賛や名誉よりも、かけがえのない宝物だった。
やがて想いは通じ合い、恋人同士になった。彼女はいつも笑顔で可愛くて……毎日が本当に幸せだった。
彼女と人生を共にしたい一生守るのだと固く決め、当直明けの眠い目をこすりながら宝石店を見たりして婚約指輪を選び始めた矢先に彼女に告げられた。
「航大くん、別れよう……」
彼女は、絶望と傷に満ちた顔で俺を拒絶した。
「麗ちゃんと結婚したかったから、私に近づいたんでしょ? 信じていたのに……」
その瞬間、俺は自分の愚かさをこれ以上ないほど呪った。知らなかったわけではない。
院長の娘と俺が婚約するという、根も葉もない噂。俺は悠南を愛するあまり、そんな外野の声を一切気に留めていなかった。
それが彼女をどれほど深い孤独と地獄へ突き落とし、心をどれほど深く傷つけていたかも知らずに。
その翌日は学会があったが、その日は欠席にしてすべてを捨ててでも説明しようと彼女を探し回ったが、悠南はすでに退職届を提出していた。
それに住んでいた寮からも煙のように姿を消していた。
それからの二年間は、魂の抜け殻のような日々だった。笑うことも、喜ぶことも、ほとんどできなくなっていた。
そして院長から持ちかけられた麗との婚約。
普通なら即座に断るところだが、俺は「院長の側にいれば、いつか必ず悠南の情報に辿り着ける」という、微かで頼りない希望に賭けた。
屈辱を飲み込み、その提案を受け入れたのだ。 どんなに苦しくても、彼女の行方を探すためなら、耐えられた。
そして今日やっと彼女は俺の元に戻ってきた。