従姉の代わりに結婚したら、救急医(元カレ)の執愛に捕まりました。
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マンションの重厚なドアを静かに開けると、リビングにはまだ柔らかなオレンジ色の照明が灯っていた。 足音を忍ばせて中に入ると、ソファの上で小さな背中を丸めた彼女が規則正しい寝息を立てて眠っている。
テーブルの上には、俺が淹れ損ねたあの苦い紅茶のカップが、寂しげに置かれたままだった。
「……やっと、やっと見つけた。はるちゃん」
掠れた声で呟きながら、ゆっくりと距離を詰める。 無防備に眠る彼女の頰に触れそうになり、指先がわずかに震えた。
だが、今ここで起こして怯えさせるわけにはいかない。
まだ俺たちの夫婦としての時間は、始まったばかりなのだから。俺は胸の奥で湧き上がる強烈な独占欲と衝動を、無理やり抑え込んだ。
彼女の細く華奢な体を、壊れ物を扱うように慎重に横抱きにする。驚くほど軽いその重みに、胸の奥が張り裂けそうなほど締め付けられた。
温かな体温が、掌を通じて直接伝わってくる。その感触一つ一つが、俺の心を激しく揺さぶる。