従姉の代わりに結婚したら、救急医(元カレ)の執愛に捕まりました。
「はるちゃんは、座って」
そう言って航大くんは椅子を引いて優しくエスコートをしてくれて、私は気恥ずかしさを隠すように席に着いた。心臓が、静かに速く鳴る。
「ありがとう、航大くん。いただきます」
紅茶を飲み、焦げている炒り卵っぽい目玉焼きを一口食べる。
ん?これは。
……甘っ……!?これは、お塩と間違えてお砂糖かけちゃったのではないだろうか。だからこんなに焦げていたんじゃ……
「焦げてはいるけど、美味しいよ。でも、とても甘い……かな」
「えっ、うそ。ま、間違えた!?」
そう言って航大くんは立ち上がると、キッチンに駆け込んでいく。するとしょぼんとして容器を持って戻ってきた。
「塩じゃなくて、砂糖入れちゃったみたいなんだ……容器が同じだったから」
「あぁ……それは」
二つ並べられた容器にはラベルもないし蓋も同じ色だ。これは間違える……見た目が同じだし。
「後からラベルを貼っておくね。そうしたら間違えないと思うから」
「ご、ごめん」
「気にしないで。大丈夫だよ、甘くても美味しいから……トーストと目玉焼き、口に合った?」
私が航大くんに問いかければ彼は頷いて「とても美味しいよ」と微笑んだ。
「とっても美味しい。こんな綺麗に目玉焼きが作れるなんて魔法使いみたいだ」
「そんなんじゃないよ。料理は小さい頃からしていたから」
朝食の時間が、穏やかだ。とても楽しんでしまっている自分がいる。
偽りの夫婦のはずなのに、彼の隣にいるだけで心のどこかが安らいでしまっている自分が怖くなる。