従姉の代わりに結婚したら、救急医(元カレ)の執愛に捕まりました。
「航大くん、ここから先は関係者フロアだよ! 私は入っちゃダメだと思うんだけど」
「大丈夫。俺の奥さんだから」
いやいや、それは関係ないと思うよ!?
重厚な扉が静かに閉まり、医局の奥にある休憩室に入ると張りつめていた空気がふっと緩んだ。
「……ごめん」
航大くんの声から、先ほどの鋭さが消えて溶けるような甘い響きが戻ってきた。
「ううん、大丈夫。……でも、あんなところで、私の味方なんてしたら……航大くんの立場が悪くなるんじゃないかな……麗と婚約していたのに」
「立場? そんなものより、君の笑顔の方が数万倍大事だよ。……二年前、君を一人にして、こんな思いをさせたこと、今でもずっと後悔してるんだ。だからもう、誰にも君を傷つけさせない。絶対に」
航大くんは私をふかふかのソファに優しく座らせると、自ら隣に腰を下ろして私の手を両手で包み込んだ。 清潔で、ひどく温かい手。その感触に、二年前の記憶が優しく蘇る。
「航大くん……お弁当、作ってきたの。一緒に食べよう?」
私がトートバッグを見せると、彼はパッと顔を輝かせて子供のように嬉しそうに微笑んだ。その笑顔は、無防備で愛おしくて、胸が熱くなった。