従姉の代わりに結婚したら、救急医(元カレ)の執愛に捕まりました。
その言葉は二年前のあの時、誰からも向けられなかったものだ。
あの頃の私は、伯父に航大くんと別れろと迫られて周囲からは嘲笑われて自分の居場所もないように思えた。だけど、彼とは別れたことで力尽きてしまい無責任に仕事から逃げ出した。
自分勝手で航大くんにそんなふうに言ってもらう資格も、傷つく資格もないのに私の心にはずっと深い傷跡が残っていた。
だけど、彼は私なんかよりも麗を選んだ。私が別れを告げなくても振られたかもしれないけど。
「ありがとう。航大くん。でも、佐藤さんの言ったことも一理あると思うの。私は無責任に逃げちゃったから。……あんなに看護師の仕事大好きだったのに」
ポロリとこぼれた本音に、航大くんは目を細める。
「……はるちゃんには、はるちゃんの人生があるんだから。それに院長と色々あったって聞いた」
「えっ?」
「元々、院長と悠南がお互い避けていたのは知っていたんだ。不仲なんだろうなって……」
彼はそっと手を伸ばし、私の頰に触れると零れそうになった涙を熱を持った親指で優しく拭った。
「そう、なの?」
「うん。院長わかりやすいからね。まぁ、この話はおしまいにしようか。せっかくお弁当作ってきてくれたのにこんな気持ちが落ちてたら勿体無い……あ、そうだ。この玉子焼き、『あーん』してくれてもいいかな?」
突然の甘い提案に、私は「えっ」と小さな声を上げてしまった。
そんなことお家では言われたことがなくて戸惑う。言われたことをもう一度思い出して意識してしまって顔がとても熱くなる。
「ね、いいでしょ?」