従姉の代わりに結婚したら、救急医(元カレ)の執愛に捕まりました。
凛太郎くんは手に持った書類を抱え直し一歩、近づく。 その目は航大くんを真っ直ぐに見据えており空気がわずかに引き締まる。
「彼女は……悠南は慣れない環境でずっと気を張っているはずだ。あまり無理をさせないでやってほしい……俺はもう彼女の笑顔が曇るようなことだけは見たくないんだ。二年前、彼女がどんな思いでこの病院を去ったか、君だって分かっているはずだろう?」
凛太郎くんは仕事ではなく本当にプライベートな内容を話し出した。
「……っ凛くん!?」
思わず以前のような呼び方で呼んでしまった。
「あぁ、分かってるよ。身内としての心配、痛み入るよ」
航大くんは逃げることなく、真っ直ぐに凛太郎さんの目を見返した。 そこには拒絶ではなく、深い誠実さと揺るぎない決意が宿っていた。
「安心してくれ。二年前、俺は彼女を一人にしてしまった。そのことを、一秒たりとも忘れたことはない。今の彼女の居場所は、俺の隣だ。もう二度と、彼女を一人で泣かせるような真似はしない。……今度こそ、俺が彼女を誰よりも幸せにすると、誓うよ」
二人の間に、静かで、けれど互いを認め合うような熱い沈黙が流れた。 凛太郎くんは、航大くんの表情を見てふっと肩の力を抜いた。 二年前、伯父の冷たい言葉に傷ついた私を、凛太郎くんはずっと後悔していたのだろう。
その想いが、彼の表情に静かに滲んでいた。