従姉の代わりに結婚したら、救急医(元カレ)の執愛に捕まりました。
「……麗。本当に、大丈夫なんだな? もし何か困ったことがあったり、無理だと思ったらいつでも俺に連絡してくれ。俺は、いつだって悠南の味方でいたいんだ」
「凛太郎くん、ありがとう。……私は大丈夫だよ。今の私は、とても幸せだよ」
航大くんの言葉がパフォーマンスだとしても、私は今が幸せだ。
私が心からの、柔らかな微笑みを浮かべると、航大くんは愛おしそうに私の手をそっと包み込んだ。 その大きな手の温もりが、私の胸に残る不安や罪悪感を、優しく溶かしていくようだった。
凛太郎くんは少し寂しげに、けれどどこか晴れやかな、安堵したような表情でゆっくりと頷いた。
「……失礼した。榛名先生、午後の救急センター薬剤師私になりましたので、よろしくお願いします」
「は? さっきは捕まえられないからって言ってなかったか」
「しっかりと話す機会はないですし、さっき変わったので。では、私はこれで失礼します。あ、研修医くんが呼んでましたよ。お昼食べ終わったら早く行ったほうがいいと思います」
そう言い残し、凛太郎くんは静かにドアを閉めて去っていった。 部屋に、再び二人だけの時間が戻ってきた。
「……航大くん早く、食べないとだね」
私は小さく息を吐きながら、そう言った。胸の奥が、まだ熱い。
「……そうだね、はぁせっかくの楽しいお昼のに早いなぁ」
航大くんは照れたように頰をわずかに染め、私の髪を優しく撫でた。指先の感触が、甘く心地よい。
「……私も、航大くんの力になりたい。お弁当、これからも作ってもいいかな?」
「もちろんだよ。じゃあ食べよう。また研修医に邪魔されたら困るし」
航大くんは箸を持つと弁当を食べるのを再開した。
この部屋に流れている穏やかで温かな時間は、間違いなく私たちの新しい、そして本物の絆の始まりのように感じられた。