エリート救命医と身代わり花嫁の再会愛。
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翌日の夜。航大くんは仕事帰りに連れてきてくれたのは、湾岸沿いに広がる大きな遊園地だった。
車を降りた瞬間、潮の香りと共に夜の冷たい海風が頰を優しくなでた。視界の先には海風に揺れる色とりどりのイルミネーションが、まるで星屑を海辺にぶちまけたように夜闇を鮮やかに彩っていた。
ナイト営業だから子供はほとんどいなくてカップルや同じような仕事帰りの人たちの楽しげな笑い声が、遠くで軽やかに響く。
昼間の賑やかな遊園地からは正反対の、煌びやかで眩しい世界がそこに広がっているのだろう。
「……ここ、覚えてる?」
航大くんが私の方を振り返り、ごく自然にけれど壊れ物を扱うような慎重な優しさで私の手を包み込んだ。その手の温もりが、夜の冷えた空気の中で特に優しく感じられる。
「……忘れるわけないよ。二年前、私たちが最後に出かけてもう一度来ようって約束していた場所だもん」
――だけど。
それは私のせいで叶わなくなってしまった。
『麗が榛名くんのことを好きだと言っている。あの子は可愛いから、彼だってすぐに好きになるだろう。お前のような可愛げのない、仕事ばかりの女が側にいては邪魔だ。彼と別れて、この病院も辞めろ』
看護師としての仕事に誇りを持ち、彼との未来を何よりの支えに信じていた私はその無慈悲な一言で、すべてを奪われた。
それに噂もあったし伯父には逆らうことはできない。それを信じて彼に泣きつくなんてできなかったから私はただ、泥のように絶望して彼の前から姿を消すしかなかった。
別れを切り出した時の逃げ出した記憶が、今も胸に鮮やかに残っている。航大くんが遠くを見つめ、過去を慈しむように、けれど少しだけ寂しそうに語った。