エリート救命医と身代わり花嫁の再会愛。



 顔を上げると航大くんと目が合った。
 彼は私の手を握り、温かな手と、真っ直ぐで熱い眼差しが私の心の壁を少しずつ優しく溶かしていってしまいそうになる。

 二年前と同じ温もりに揺らいだ。ずっと忘れようとしていた。忘れられなかったけれど……忘れたかったこの人の温もり。


「……怖いの。話したら、嫌われてしまうかもしれない。全て失ってしまうかもしれない」

「嫌うわけがないだろう」


 彼は即座に答え、私の額に自分の額をそっと寄せた。温かくて、大きくて——二年前と何も変わらないその温もりに、また涙が滲む。


「俺は二年前、噂話を否定しなかった。悠南なら言わなくても大丈夫だと、分かってくれると信じて疑わなかった。噂なんて跳ね除けてしまうのだろうと……だが、結果がこれだ。だけど、今度は言うよ。しっかりと。君を愛している。今は身代わりだろうと、何だろうと関係ない。君が悠南である限り、俺は君を守る」

「でも、……でもっ」

「大丈夫だから。今日はもう帰ろうか……さぁ帰ろう」


 その言葉に、涙が込み上げてくる。私は彼のコートに顔を埋めて小さく頷く。遊園地の出口に向かう道中、航大くんは安心させるかのように私の肩をそっと抱き寄せた。
 夜風が冷たかったけれど、彼の体温があったかいのかそれとも私の心が満たされているのかわからないけれど、それを感じさせなかった。



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