エリート救命医と身代わり花嫁の再会愛。
話すたびに声が震え、涙が止まらなくなった。私は膝を抱え、ソファの上で小さくなった。すべてを聞き終えた航大くんは、長い間黙っていた。
怒っているだろうか。呆れているだろうか。こんな嘘をつき続けた私を、軽蔑しているだろうか——そんな考えが頭をぐるぐると回り続けていた。
やがて、彼は静かに私の体を抱き寄せ、胸の中に深く包み込んだ。大きな手が私の背中を優しく、繰り返し撫でてくれる。まるで泣いている子どもをあやすように、ゆっくりと、丁寧に。
「……話してくれてありがとう。はるちゃん」
その声は低く、優しく、けれど底に燃えるような怒りが込められていた。
「俺は二年前、君が消えた理由をずっと探していた。凛太郎さんから事情は聞いていたが……ここまで卑劣なことをやっていたとは思わなかった。院長だけでなく、麗やその周囲も、すべて許せない。一番許せないのは、自分だな」
彼は私の短くなった髪を、愛おしむように指で優しく梳いた。
二年前、肩まで届いていた私の髪。航大くんがよく、仕事ですれ違うと何気なく一度だけ指を通してくれた。
それが嬉しくて、恥ずかしくて、その日ずっとどきどきしていたことを覚えている。その髪が今は耳にも届かないほど短くなっていて、彼はその短さを、一本一本確かめるように静かに撫でた。
「こんなことまでされていたのか……」
彼の声が、少しだけ掠れた。
その指の温かさが、私の頬を伝う涙を余計に溢れさせた。
「だけど……もう大丈夫だ。俺がいる。君の実家も、クリニックも、父さんも、スタッフのみんなも、絶対に守る。君がこれまで一人で抱えてきた痛みも、恐怖も、全部俺が受け止める」