エリート救命医と身代わり花嫁の再会愛。


 航大くんの腕が、私をさらに強く抱きしめた。温かくて、大きな胸。彼の心臓の音が、耳元で落ち着いたリズムを刻んでいる。その音を聞いていると、心地が良くて不思議と呼吸が楽になっていった。


「はるちゃん、俺ははるちゃんを愛してる。二年前も、今も、これからも——君だけを、ずっと愛し続ける。もう二度と、君を傷つけるようなことはさせない。約束するよ」


 胸の奥がじんわりと温かくなった。

 二年間、自分に言い聞かせてきた言葉がゆっくりと溶けていくような感覚がした。


“忘れなければいけない”
“もう関係ない”
“私が選んだことだから”


——そのどれもが、今この瞬間に静かに崩れていく。

 私は彼のシャツをぎゅっと握りしめ、ようやく小さな声で答えた。


「……ありがとう、航大くん」



 彼は私の涙を親指で優しく拭うと、ふわりとまるで壊れ物を扱うように額にそっとキスを落とした。


「泣かないで。俺がそばにいるから」

 
 その言葉と一緒に、また一つキス。頬骨の高いところにそれから涙で濡れた目尻に。
 一つ一つのキスが、とても甘くて切ない。




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