子供は作らない契約結婚でしたが夫の溺愛が本気すぎます
そして、数日後。

両親の前で、小さな結婚式を挙げた。

身内だけの、ささやかな式だったけれど、不思議と心は満たされていた。

「綺麗よ、未知」

そう言って一番嬉しそうだったのは、お母さんだった。

歳を重ねてから授かった一人娘。

私の成長を、誰よりも近くで見てきた人だ。

その瞳が少し潤んでいるのを見て、胸が熱くなった。

「渉君、未知をお願いするよ」

お父さんもそう言って、静かに頭を下げる。

渉君は真っ直ぐに頷き、その横顔はいつもより少しだけ緊張して見えた。

そして、婚姻届に名前を書く。

私の名前と、渉君の名前。

並んだ二つの文字を見た瞬間、胸の奥がきゅっと締めつけられた。

契約だと分かっている。

それでも、この名前の並びが、どうしようもなく嬉しかった。

私は今日から、渉君の妻になる。

その事実を、紙の上の文字が静かに教えてくれていた。
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