溺愛センパイと雨空の下で。
目の前の天使から渡されたこの愛おしいクッキーは家宝だ、家宝。冷凍保存して後世まで受け継ごう。

俺が甘党だと聞くなり、ぴょんぴょんと跳ねながら喜ぶ彼女についつい口角が緩む。


「あ、俺がお礼楽しみにしてるって言ったから?」
「…そうです、すっごい悩みました」
「ハハハやっぱり時雨ちゃんは真面目だね」


あれから数日経ってるということは、数日間俺のことを考えてくれたと思ってもいいのか?


お礼楽しみにしてる、と言ったのは確かだけど、それは本当にお返しが欲しいとかそんなのではなく、なんとか時雨ちゃんとの関係を繋ぎ止めたかったから。

せっかく時雨ちゃんと話せるようになったんだから、この絶好の機会を逃すまいと咄嗟に出た言葉がそれだった。


するとパァっと明るく微笑んでいた彼女の表情が少しずつ陰りを帯びていく。


「…やっぱり冗談でしたか……?迷惑だったら、」
「……っそんなわけない!」
「…ほんとに、ですか?」


ありがとうね、と言いながら頭を撫でるとビクッと肩を揺らした。

嫌だったかな?と表情を伺うと、ただでさえピンク色に染まっている頬の色がさらに濃くなっており、気持ちよさそうな猫のように擦り寄ってくる天使に胸を打たれる。

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