溺愛センパイと雨空の下で。
平然を装って彼女の方へ向かうが、心臓が爆発しそうだ。


「おい!!」と大地が俺を呼ぶ声が聞こえる。
そりゃそうだ。学校1の美少女が俺を呼んでるんだから。

廊下へ視線をやると他クラスの奴らまで6組を覗きに来てやがる。クソが、見に来んじゃねぇ。




焦る鼓動を出来るだけ落ち着かせて、彼女の前に立った。


「…久しぶりだね、時雨ちゃん」
「お、ひさしぶりです、先輩」


俺が彼女を「時雨ちゃん」と呼ぶとよりいっそうザワつくクラス。そりゃそうだ、俺だって落ち着かない。

目の前にいる時雨ちゃんの周りには天使の羽が舞っている。もう、なんでこんなに可愛いんだ。


「あっ、あの、橘先輩に、これ、渡したくて…」


そう言って時雨ちゃんが俺に差し出したのは茶色い袋。
不思議そうに受け取る俺に時雨ちゃんはこう言った。


「このバレッタ、拾ってくれたお礼に、昨日クッキー作りました…。先輩、甘いもの苦手じゃなければ…ぜひ食べてください…」
「……俺、甘いの大好きだよ」
「ほっ、ほんとですかっ!?わぁ、よかったぁ…!」

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